ここではないどこかではなくここで
1年ほど前だろうか。
自分のキャリアについて色々考え始めたときに、
拠点をどうしようかとなって、私は東京に行こうと決めた。
ライターとしてキャリアを積んでいくのであれば、東京の方が確実にチャンスは多い。
「東京に行った方がいいよ」という助言も多く、今や東京の方が友人も多くいるため、迷う余地はなかった。
社会人1年目の最初の配属先が東京だったが、
色々重なったりなんだりで会社に行けなくなり、
「環境を変えてもっかい頑張れ」という人事の配慮で、半年弱でそこを去り大阪の本社に帰った。
だから、正直仕事面で東京に対しては苦い思い出が多かったけれど、
再度東京で仕事にチャレンジできるならその思い出を塗り替えるチャンスだ、と
だから今度は30歳くらいまでは東京を拠点にして頑張ろうと思っていた。
ちょうど私が30歳になる2020年に東京オリンピックも開かれるしね。
そして、今年の夏頃。
ちょっと色々な理由が重なって、関西をすぐに離れるのが難しくなった。
自分でコントロール不可能な理由もあったりで、最初は戸惑ったし、どうしよう・・・というのが正直なところだった。
で、色々と悶々と考えながら散歩していたら、こんな言葉が降ってきた。
「私はなんで、こんなに東京に行きたがってるんだろう」
その言葉は何度も私の中を反芻した。
憧れの街へ行きたい理由を問うてみると、あんまり確かなものは浮かばない。
大きかったのは、「ここではないどこかへ」という気持ちだった。
夢を持ちつつも、変わらない日々を過ごし、変わるための行動をあまり起こせなかった自分が好きじゃなくて、場所が変われば、環境が変われば、私は違う何者かになれると思っていたのかもしれない。
そんなことを考えてギクッとしているとき、くしくもちょうどSNSなどで「関西ってやっぱいいわー」みたいなコンテンツを見聞きすることが多かった。
一番心打たれたのは、尊敬するライターさんの一人でもある塩谷舞さんが書いたこの記事。
これを読んで、心の底から「ああ、私大阪好きやなあ」と思った。
その瞬間には、土地にこだわり、「東京に行かないといけない」「このまま大阪でいたら何も変われない、前に進めない」といった強迫観念めいたものは無くなっていて、すごくポジティブに「ここ大阪で、関西で、頑張ろう」って思っている自分がいた。
四国の田舎から、大学入学と同時に関西に飛び出してきた。
大学1年のとき、とても日々がつまらなかったけれど、一歩踏み出したりいろんな人に会ってるうちに、気が付けばかけがえのない人たちに囲まれていて、宝物のような大学時代を送ることができた。
社会人1年目。東京で挫折して、後ろめたさを感じながら関西に戻ってきた。
でも、いろんな人に支えられて、そこで一つひとつ仕事を達成していくことで、自分の自信を取り戻せた。
関西は、私にとってとても大事な場所。
「東京に行けないからいる」ではなく「関西にいたい」「ここで頑張りたい」って思えた。
「自分を変えたいなら住むところを変えろ」という言葉があるくらい、何か新しく始めるときや自分を変えるときに、土地を変えることは非常に有効だと相変わらず思っている。
それに、1年後3年後5年後に、私がどこでいるかなんて正直わからない。
でも、今私は関西でがんばる。
大好きな土地で、慣れた土地で、散歩してるだけで幸せになるようなコースが近所にある大好きな今の家で、ここではないどこかではなくここで、自分を好きでいられるように私は頑張る。
この1年間ほど、「そのうち関西を離れるかもしれない」という割には新しい場所へ足を運んだりすることに億劫になっていた。
新しい友達が欲しいなと思いつつも、すぐに東京に行くかもしれないしなと思って、積極的になれなかった。
そうしたたがを外して、思いっきり関西での生活を楽しもうと思う。
♯
あ、ちなみに余談ですが仕事はやはり東京の企業様とのものがほとんどです。
でも、チャットツールやWeb会議などを用いて回ってるし、むしろ「関西にこういうこと頼める人いなくてね」といった言葉をいくつもいただいているので、それほどネックにはならなそうです。