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【EVENTレポ】堂島デザイン会議(2015/1/31)

先週土曜日、堂島デザイン会議というイベントに行ってきました。

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Twitterでフォローしておりひそかにファンとしてツイートやブログ記事を拝見させていただいている、しおたんさん(@ciotan )のツイートで見つけたこのイベント。
なにかピンとくるものがあったので参加してきました。
※会場は、「堂島」と付いているけど京都でした。(ちなみにわたしの職場も堂島です(笑) 就活時は結果的に堂島にオフィスのある会社ばかり受けていました。)
 
まずはじめは、電通京都の各務さんのお話。
10年間海外で日本のメーカーのPRのお仕事をしていた各務さんは、「日本は、今までの『車や家電を作る』メーカーが優れた国」以外の価値を出し方を考えていかなければいけないのでは、と思っていたそう。
そんな折に訪れたのは電通京都支社への赴任という転機。
京都という土地に縁もゆかりもなかった各務さんですが、それから現在に至るで、「伝統産業の再生」と「日本文化からグローバルバリューを抽出する」をミッションとして、観光事業、産学連携事業オリンピックに向けての文化プログラムづくりなどのお仕事をされているそうです。
 
たとえば、そのプロジェクトのひとつが〝GO ON〟
これは、伝統工芸師の若旦那衆が集結して結成されたクリエイティブユニット。
排他的と言われる京都で、しかも伝統工業に関わる人たちが組合の枠を超えて集結するなんてことは今までであれば考えられなかったとのことだが、各務さんいわく「京都の風土とかを良く知ってたら無理って諦めてたかもしれないけど、何も知らないし鈍感だから気にならなかった(笑)」とのこと。
ちなみに、最初はみなさん各務さんのことをよく思っていなかったそうなのだが、それにもまったく気づかなかったらしい(笑)。
 
各務さんがおっしゃるには、海外の人が日本の工芸品を買うとき、彼らはモノではなくその商品の裏にあるフィロソフィーや歴史を見て欲しいと思うとのこと。
また、「若旦那衆たちの意識などで何か変わったことはありますか?」と聞かれて「どんどんお洒落になってきましたね」と答えられていた。
これまでは、職人ゆえに黙々と技術を磨いて内に目を向けがちだった若旦那衆。
しかし、プロジェクトが進んでいく中で、若旦那衆は先人が築き上げてきたブランド価値や実績やリレーションの大きさに気づき、より自分たちのモノ・ブランドを貴いものだと思うようになり、それらを魅力的に伝えるための術を身に付けようとしているのだとか。
その要素のひとつがプレゼンテーション能力だったり、立ち居振る舞いだったりする。
彼らはその重要性に気づいてきたのだという。
 
他のプロジェクトとして幾つか名を挙げると、
たとえば〝Beyond KYOTO〟という旅行会社と提携してのプログラム。
富裕層の方はモノそのもの以上にその裏に秘められた背景・歴史に興味を持つという点を活かし、若旦那衆など京都ならではのモノ作りをしている人たちが自らモノ作りの現場などを案内するツアーのようなものだそう。
 
あとは太秦江戸酒場
東映太秦映画村は時代劇のロケ地などでよく利用される京都の観光名所。
京都への修学旅行などではよく訪ねられる場所だ。
「以前から夜の雰囲気が素敵だなあと感じていた」と語る各務さん。
ただ、映画村は17時で閉まってしまうのだ。
そこで18時以降にライトアップをし、大人の遊び場とするプロジェクトを昨年2日間限定で実行。
お客さんには着物着用で来園してもらい、伝統工芸のワークショップや昔ながらのバー、再現された遊郭など江戸時代らしい風景でおもてなしをしたという。
スライドショーで一部当時の写真が流れていたのだが、とにかく「お洒落で粋だなあ」という印象を持った。
「今年も開催予定。ほんと言うと毎日開きたい!」と語られていたのでこれまた楽しみだ。
 
なにより印象に残ったのは、子どものように無邪気でいつも世界に対して明るいまなざしを持っている各務さんの瞳。
「京都に来てからは毎日新しい発見があって、毎日が観光気分です」と楽しそうに語っておられた。
その他、自分の中で大事にしていることとしては、「できるだけ多くのプロジェクトを同時進行する」こと(※今でも30以上のプロジェクとを並行して進められている)と、「何か思い付いたら1枚の紙に簡単な企画書を書いておき、誰かに会ったとき、『この人の力を借りれば実現出来るかも』と思ったらすぐに相手に説明できるようにしておく」こととのこと。
すべての行動の源泉が、「僕がしたいと思ったから」という点も素敵だなあと思った。
 
 
次のセッションはDENTSU DESIGN NINJAの堀内さんと田中さんによるセッション。
『広告領域からの脱出』を掲げて電通関西支社のアートディレクターが集って結成したチームNINJA。
普段、彼らは広告という立場から企業の宣伝活動を支援しているが、それはつまりマーケティングの4P(Product、Price、Place、Promotion)で言うPromotion、4C(Customer Value、Cost to the Customer、Convenience、Communication)で言うCommunication部分だけしか担当していないことになる。しかもその中でさらにアドの分野中心となると、結局広告制作はマーケティングのごくごく一部。
 
一方で、市場・消費者など企業を取り巻く環境は変わり、それに伴ってマーケティングも変化していくべき時期に差し掛かっている。
マーケティング環境が変化すれば広告のあり方も変わるのではないか?
だから領域を限定してその中だけで同じことをしているだけでは足りないのではないのか?
そう思った彼らは、「広告」じゃなく「デザイン」という言葉の元に動こうと決めた。
そして、「デザイン」というと一般的には「問題解決の手法」と定義されるゆえに「マイナスをゼロにすること」と見られがちだが、そうではなく「マイナスをプラスに引き上げ、そして〝WOW〟を引き起こしたい」という思いを持っておられる。
 
途中、語られていた堀内さんの学生時代のお話が面白かった。
学生時代グラフィックデザインを勉強していた堀内さんが作品を提出するために、作成したデータが入ったフロッピーディスクを持って校舎のある棟を訪れたときのこと。
その棟の1階では、プロダクトデザインを専攻している生徒たちがモノづくりをしており、そこには大きな完成物たちもごろごろ転がっていた。
それを見た堀内さんはこう思う。「こんなに大きな作品を作っているなんて。かたや俺はフロッピーディスク1枚。。。」
落胆していた堀内さんがそんなときに出会ったのが当時モスバーガーのPRをしていた宮田誠さん。
宮田さんはモスシェイクのPRを任され明日商品撮影!という日の前日に、モスの社長にこう言ったそうだ。
キンキンに冷やしたグラスに注いだシェイクの写真を出すってことは、それを店頭でもやるって約束することですよ」
当時偶然モスでバイトしていた堀内さん曰く、「その後モスでは本当にキンキンに冷えたシェイクを提供することが義務付けられてました」そう。
この光景を目の当たりにした堀内さんは、「デザイナーが経営層に口出しし、ビジネスのあり方や企業を動かすことができるんだ!」と感動し、宮田さんと同じアートディレクターを目指すことに決め今の道にいるのだとか。
 
あのポン・デ・ライオンを生み出し、その他itomaki、グランフロント大阪のタッチサイネージなど最先端の取り組みにあらゆる角度から挑戦するNINJA。
「プロジェクトは自分の欲望からはじまってる」「作ったものを前にして自分が感動できるか、自分が作るモノに変態的なこだわりを持てるかが重要」という言葉が刺さった。
 
 
その後は、ワーキングマルシェと称されるワークタイム。
自分が構想するプロジェクトについて発表したい!と手を挙げた方の中テーマの中から、自分が興味あるもののブースに参加し、議論したりアイデアを出したりするもの。
2回チャンスがあり、私は下記2つのブースに参加した。
 
・フィールドレコーディングをおこなっている方のブース
普段はWeb制作会社で働かれている彼の趣味はフィールドレコーディング。
インタビューをしており録音になじみがあるわたしにも未知だったその分野。
外に出て、ただあるがままそこで響いている音を録音するというもの。
たとえばコーヒー屋さんのミル挽きの音、甲子園の歓声、牧場に居る牛のカウベルなど色んなものが対象に替わる。
30 minutes recordingというこちらのサイトで、リラックス用にの音楽として発信されており、今後どんな音を録ったらいいかアイデアを出し合い、人気のものは後日実際に彼がフィールドレコーディングに出かけるというものだった。
結果は、雨の音が優勝。
私も雨が大好きなので、雨の音の音源出来たらぜひ聞きたい。
 
・某アパレル系通販会社で働く方のブース
ふだん仕事をされている中で、大量消費社会や安さ重視でモノを選ぶ消費者を目の当たりにされている方なので、皆でこれからの消費について考えた。
その中で参加者のある方がこう言っていた。
「最近は、ちょうどいい服が無い。素材がいいものは値が張るし、安いものは生地がペラペラで困る」
私も同意見。セールくらいでしか、〝ちょっといい服〟に手が出せないもん。
実際、原材料費が高騰しているため、たとえば以前5,000円の売価で提供していたものを8,000円で提供しないといけないような実態があるよう。
ただ、「大量消費社会」を支持する人はあまりおらず、
モノを買うだけの消費活動に飽きた消費者はコンテクストやストーリーをじっくり見てお金を払う傾向が強まる。
とはいえ、まだまだそういった考えが出来る人が少数であるのは事実だから、国民一人ひとりのモノを見る目を磨くことが重要
といった意見が多数でした。
このあたりのトピックは、大学時代卒論で取り上げた部分に類似していたこともあって、納得して聞くことができた。
 
 
そして最後のセッションはAmadanaの代表・熊本さんによる講演。
1.2分と話さないうちに、熊本さんの破天荒さが十分に伝わってきた(笑)
東芝系列の電気店である実家で育った熊本さんは、昔から家電が大好きで「カッコいいものづくり」に憧れて東芝に就職。
しかし実態はというと、入社してすぐに大型スーパーの家電売り場に派遣され、こき使われる始末。
このとき熊本さんは1日目から腹が立ち途中で帰ったそうなのだが(笑)、はじめて「メーカーが一番偉いと思ってたけど、それが今は違うんだ」という事実を知る。
けれど、そこで諦めないのが熊本さん。
「俺たちがこんなヘコヘコしてるなんておかしい!もっとカッコいいモノを作ってブランド価値を上げよう!」と社内を鼓舞していきます。
 
その後は、「家電には選択肢が少ない。新しいブランドを作って、選択肢を1個増やすことの方が市場の活性化に貢献出来るかもしれない」との思いを持ちAmadanaを創業。
創業期には、「自分たちを家電メーカーだと認識して貰うため」に〝名刺のように配れるプロダクトを作る〟とのコンセプトの元、電卓を開発。原宿のセレクトショップに置いてもらうことで、PR活動をしていったそう。
その後、ケータイ全盛期時代にはAmadana携帯を引っさげ携帯市場に参入。
そして、ハイアールとパートナーシップを結ぶなど、勢いは止まりません。
 
そんな熊本さんの話の中で印象的だったのは、〝売り方をデザインする〟という考え方。
もともとデザイナーではなくセールスマンである熊本さんならではの視点だけど、たとえばAmadana携帯を売り出したときにもあえて注文より少ない数だけまずは販売したり、チャネルを限定したりして「簡単に手に入らない」状況を作ることで、消費者の「欲しい!」「手に入れた!」という気持ちにドライブを掛けていたそう。その結果、Amadana携帯は100万台を超えたそう。
 
また、ハイアールと提携した際も「オフィスに冷蔵庫を配りましょう!」との施策を実行。
一般的なメーカーなら眉をひそめるに違いないこの提案も、熊本さんは「冷蔵庫を置き、そこにアイスやジュースを提供することで〝メディア冷蔵庫〟とする」との考え方で進められたそう。
「ハードウエアの進化はサービスモデルによって支えられるし、時代とともに価値の作り方・つけ方は変わってくる」との持論でどんどん斬新なアイデアを実現する様は理想的な〝21世紀の起業家の姿〟。
 
あと、共感したのは「日本のメーカーは完成品を完璧に作って直前まで明かさない。だから、どんどん先を越されるんだ」という言葉。
これがいやだという熊本さんは、「とりあえず、まずはコンセプトだけでもインパクトある何かを示してやる」んだそう。
「そうすると、メディアは『なんか面白いことやってるな』と取り上げてくれて、それを見た企業やエンジニアが『うち、こんな技術持ってますよ!』『連携して何かやりません?』とかって、どんどん問い合わせがくる」
 
昨年には、課題や戦略、テーマを様々なクリエーターやコンセプトメイカーズと共有して開発のプロセスをオープンに発信していくことで、革新的なサービスを生み出そうと、共創プラットフォームamidusを開設。
 
「よそ者・若者・バカモノしかイノベーションは生み出せない」
そう強く語った熊本さんが一緒にイノベーションをおこないたい相手とは。
「未来の話をする人と、いちいちおもしろがれる人が僕は好き。みんな過去の話や今のグチはいくらでもしゃべれるけど、未来の話はふだんから考えてないと30分も語れないから。あと、いちいちツッコミを入れたがる人なんかは人と視点が違って面白いからね。」
そして、革新的なアイデアを生み出している熊本さんだが、「情報収集法を教えてほしい」という質問には「情報収集はしない」と回答していた。
「むやみやたらに情報を入れないこと。頭でっかちになると動けなくなる。自分で考えて、仮説を持って挑戦するのが大切。」
 
 
 
7時間に渡る長丁場でしたが、時間は一瞬で過ぎ、とても有意義な時間でした!
次回イベントもとても楽しみです。